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第37話 見覚えのある背中

last update publish date: 2026-08-11 20:00:00

肩幅の広い体格、グレーのスーツ。少し癖のある、後ろへ撫でつけた髪。

背中を見た瞬間、五年前の記憶が一気に押し寄せてきた。

五年前、横領の証拠を私が掴んだ男。降格になっても業界に残り続けた男。姉の脅しの、核心にいる男。

そしてさっきの一言──黒瀬グループ側にも根回しは済んでいる。

この人が、黒瀬グループに何をしようとしているのか。

姉が言っていた「黒瀬の周辺を調べて」という言葉と、この男が今ここにいることは、繋がっているのか。

頭の中で、最悪の展開が連鎖していく。

もし今、あの人に振り返られたら。もし目が合ったら。

五年かけて積み上げてきたものが、今日ここで終わるかもしれない。

「……っ」

呼吸が、浅くなっていた。肺が小さくなったみたいで、うまく空気が入ってこない。

柱にもたれたまま、ゆっくりと息を吸って、吐いた。もう一度、同じことを繰り返した。

どのくらい経ったのだろう

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  • 身代わりお見合いの花嫁〜冷徹社長は偽りの愛を見抜いている〜   第4話 終わったはずが

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